「芸能人は歯が命」というコマーシャルのフレーズを覚えていらっしゃる方も多いと思います。一昔前までは「歯が白いのは七難隠す。」と言われていたようにこの表現は単に審美性を意味していました。しかしいま健康な歯は審美性だけではなく本当に命を守っていることがいろいろと分かってきています。糖尿病や心臓病と歯周病、歯の欠損と認知症との関係など様々です。

 歯医者さんに行って「あなたは歯周病です。」とか「ここに歯石がついています。」などと指摘されたことはありませんか?当院でも検査のあと説明すると「私、ちゃんと磨いているのになぜ?」とか「痛いとか血が出るとかの症状はないのに?」などと皆さんよく言われます。もちろん歯磨きをしていない方はほとんどいらっしゃらないと思います。でも、磨いているという事ときちんと磨けているかどうかはまったく別の事なのです。多くの方は自分ではきちんと磨いたつもりでも磨き残しがあって、それに気づいていないのです。磨き残しの「プラーク」が付いてしまうとそれが時間の経過とともに「歯石」となり、そうなるともう歯ブラシでは除去することができなくなります。歯石は歯科医院で専門家に取ってもらうしかありません。もしも歯石を放置したままにしておくとやがて歯肉が腫れ、炎症が徐々に深部に進み、歯を支えているあごの骨が溶けだし、徐々に歯がグラグラと動き出して最終的には歯が自然に抜け落ちてしまいます。これを歯の自然脱落と言います。恐ろしいのは、歯が動き出してから治療のしようがない状態になるまでほとんど痛みやその他の自覚症状がないので本人がそんなに悪いとは気づかないことです。さらに症状が進み痛みや腫れ、歯の動揺が顕著になってからはじめて気づき、あわてて歯科医院を受診する方が多いのですが、それではすでに手遅れなのです。

 患者さんの中には歯石を取るのは痛いから嫌だとか、いまは自覚症状が何もないから虫歯の治療だけしてほしい、極端な方は痛みだけ止めてほしい、などと言われる方が時々いらっしゃいますが、口腔内を見ると歯石だらけのことが少なくないのが実情です。口の中に不調和を感じている方、歯磨き時の出血や口の中のネバネバ感、口臭なども歯周病の一症状の可能性がありますので、迷わず早めにお近くの歯科医院を受診してください。

 逆に、虫歯がなくて歯科医院が縁遠い方も注意が必要です。出血も歯ブラシがきちんと当たっていなければ見られません。繰り返しますが歯周病はかなり進行するまで痛みはないのです。北九州市から30歳〜70歳までの節目の歳を迎えられる方に歯周病検診受診券がハガキで届いていると思います。このハガキをお持ちになってぜひお近くの歯科医院で検診を受けてください。

 「歯が命」の言葉を、もう一度認識していただければ美味しく食べることができて、豊かな人生を過ごすことができるといっても過言ではありません。

若松歯科医師会広報委員会